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修士論文:「色素ドープ液晶の高効率非線形光学効果と全光型焦点可変レンズ」

論 文 概 要

ゲスト・ホスト液晶は、大きな光学異方性をもつホスト液晶に様々な光機能性をもったゲスト分子を組み合わせる事が可能な為、光エレクトロニクス分野へのおうようが期待されている。この応用として光熱効果を利用した全光型焦点可変レンズを作成し、その特性を解析する事はデバイスほの応用として重要である。そこで、光熱熱効果を利用した焦点可変レンズを作成し、そのレンズの特性を測定した。そして、そのレンズと特性について光学理論を用いて定量的に解析を行った。

  まず、サンプル厚を一定として色素濃度を変化させたサンプル、吸光度を一定としてサンプル厚を変化させたサンプルを作成した。それぞれのサンプルについて吸収スペクトルを測定し評価した。色素濃度を変化させると濃度に比例し、吸光度が大きくなる事を観測した。また、吸光度を一定としてサンプル厚を変化させたサンプルについて吸収スペクトルを測定したところ、ほぼ良い一致を得た。

  次にこの作製したサンプルを用いて、各サンプルのレンズ特性を実験より求めた。ポンプ光強度16mWの時、色素濃度0.2wt%、サンプル厚100μmで約3.5cm、色素濃度0.14wt%、サンプル厚150μmで約4.5pという数cmオーダでの焦点の移動が観測された。各サンプルにおいて、このポンプ光強度を変化させる事により焦点距離を変化させることが可能な事を確認した。この事から、さらに色素濃度、サンプル厚を変える事によって焦点移動特性を大きく制御できると考えられる。このように色素濃度、サンプル厚を組み合わせる事によって目的とする焦点距離を得られると考えられる。

  続いて、このレンズ特性についてまず光学理論を用いて解析するためにサンプル中に形成される屈折率空間分布を回折理論を用いて同定を試みた。回折理論により透過光強度分布のフィッティングを行ったが良い一致を得た。そして、それぞれのサンプルにおける屈折率空間分布を得た。その結果を光学理論に適用して焦点移動特性を求めた。その結果、実験から求めた焦点移動特性と光学理論から求めた焦点移動特性が良い一致を得た。このことからレンズ特性の解析において光学理論は有効な手法であると考えられる。また、回折理論を用いて求めた屈折率の空間分布も妥当な値であり、液晶中の屈折率空間分布も妥当な値であり、液晶中の屈折率空間分布を求める手法として有効であると考えられる。

(査読論文)

1. Characteristics of optically controllable focusing lens generated in guest-host liquid crystals.
H. Ono, M. Yoshida, and T. Morisaki,
Opt. Commun. 211(2002) 309-318.

(口頭発表)

1. 2000年10月 電子情報通信学会信越支部大会予稿集
液晶光熱レンズによる全光焦点可変レンズとその解析
吉田真、小野浩司
2. 2000年10月 電子情報通信学会信学技報 OME
色素ドープ液晶の光熱効果による巨大非線形光学効果
小野浩司、菊原純一、佐伯創、吉田真、柴田和明
3. 2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会予稿集(第3分冊)
色素ドープ液晶の高効率非線形光学特性と全光制御型焦点可変レンズ
吉田真、菊原純一、小野浩司
4. 2001年9月 液晶学会討論会予稿集
色素ドープ液晶の高効率非線形光学特性を利用した焦点可変レンズの作製とその解析
吉田真、小野浩司
5. 2001年10月 電子情報通信学会信越支部大会予稿集
色素ドープ液晶の高効率非線形光学効果と光コリメーション制御の試み
森崎孝、吉田真、柴田和明、小野浩司
6. 2001年12月 応用物理学会北陸・信越支部学術講演会予稿集
色素ドープ液晶の高効率非線形光学効果
森崎孝、吉田真、小野浩司
7. 2002年3月 第49回応用物理学関係連合講演会予稿集(第3分冊)
液晶レンズの形成と特性解析
吉田真、小野浩司