変異原性を指標とした環境水の水質評価
日本の水道水は世界でも数少ない、直接飲料が可能な安全性の高い水と考えられていますが、近年その水道水が変異原性(遺伝子に突然変異を起こさせる性質。発ガン性と高い相関を示す)を示すという報告が多くなされています。これは、浄水工程で消毒の目的で使用されている塩素の添加によって非意図的に副生成物が生成するためです。消毒副生成物として代表的なものとしてはトリハロメタンがありますが、本研究で強度を測定している変異原性もその一種となります。塩素消毒によって、消毒副生成物が生成されるのは、水道原水となる河川水などの汚濁が進行していることによって前駆物質となる物質が多く混入してきていることが主要な原因となっています。河川に流入してくる汚濁要因としては下水処理水、生活雑排水などのポイント汚染、農地排水、道路排水などのノンポイント汚染があります。本研究では、河川に負荷を与えていると考えられる各種排水、環境水についてAmes変異原性試験を用いて水質の評価を行っております。
本研究では、最終的にこれらの排水が河川に流入し水道原水となることを想定して、それぞれの変異原性強度、変異原性生成能(塩素を人為的に添加し、変異原性を生成させその試料のポテンシャルを評価)を測定しております。また、それら試料の毒性の評価を行うことで最終的にどのようなところに対して再利用できるのかを検討していくことができるかを評価していこうと考えております。