長岡市の合流改善

 下水を排除する方法として、合流式下水道があります。合流式下水道は、汚水と雨水を同一の管に集め、下水処理場へ導くといった方法の下水道です。長岡のように古くから下水道整備を実施してきた都市では、浸水対策、トイレの水洗化、公共用水域の水質保全を行うために、早期に事業効果を発揮しやすい合流式下水道を採用しました。しかし、産業の発展に伴い公共用水域の水質汚濁が目立つようになり、昭和45年に下水道法が改正されました。そのため、改正以降に着手する下水道は原則として分流式下水道を採用することとなったが、現在でも合流式下水道を採用している都市は、全国191都市あり、面積で約20%を占めています。

  合流式下水道では、雨天日に汚水と多量の雨水が同一の管に集められるため、処理場で処理しきれないほどの下水量となることがあります。そのため、管の途中に吐き口を設けて、公共用水域に未処理のまま放流する構造となっています。この放流水は雨水により水質が薄められているため、問題はないとされていましたが、平成129月に東京都お台場海浜公園に白色固形物(オイルボール)が漂着したことをきっかけに合流式下水道の吐き口からの放流水は問題視されることとなりました。そのため、この吐き口の堰を越え、未処理のまま公共用水域に放流される合流式下水道越流水(Combined Sewer Overflow:以下「CSO」と呼ぶ)の発生を抑えることが必要となりました。そこで、本研究は、このCSOの水質を把握し、流出解析ソフト(MOUSE)を用いて、合流式下水道改善の対策案を提案することを目的としています。