担体投入型膜分離活性汚泥法の実下水処理への適用
現在,下水の処理方法の主流としては標準活性汚泥法が用いられていますが、この処理方法では富栄養化の原因物質である窒素・リンの除去率が約20〜40%程度と低いため,窒素,リンの除去率を上げるために高度処理の導入が求められています。
高度処理の一つである膜分離活性汚泥法は高濃度のMLSS下において効率的に有機物、窒素の処理が可能な方法です。しかしながら、膜分離法はその維持管理費が高いことから採用が進んではいません。その維持管理費の大部分を占めているのは曝気のための電気代です。これは膜分離法では処理水の吸引により膜面に付着した膜面付着物を剥離させるために曝気量を高く設定しているためです。そのため、膜分離法採用の促進には曝気量を縮減しても安定した膜透過性能を得ることが必要です。
本研究では、省スペース型である一槽間欠曝気式膜分離活性汚泥法の反応槽内に担体を投入することにより、担体が膜面に接触することによる膜面付着物の剥離効果や窒素除去率の向上を連続実験により確認し、担体が膜分離法の維持管理費縮減と処理水質の向上にどの程度寄与できるかを調査することを目的としています。