当研究室は,流体の性質に合わせて風車組とレオロジー組の2つのグループに分かれています.それぞれのグループは研究対象によってより詳細なテーマに分けられます.
  • 風車組 : 水や空気などの低分子液体を対象とした流体関連振動の研究
  • レオロジー組 : 界面活性剤,液晶,高分子溶液などの固体物理では扱わない非ニュートン流体の流動現象に関する研究

レオロジー組・化粧品班

弱い構造を有する複雑流体の流動挙動の解明
マヨネーズやケチャップなどの食品,乳液などの化粧品,血液,インクなど私たちの身の回りには様々な種類の液体があります. これらは水(または油)に別の物質を含有させたものであり,複雑な組成を持つことから“複雑流体”と呼ばれています.  我々はこの複雑流体の中でも食品や化粧品に頻繁に使用されるエマルションやゲルに注目して研究を行っています. これらの試料は,静置時には形状を保っていますが,弱い力をかけると流動し,力を除くと再び形状を保つという特性があります. この特性には弱い内部構造の“崩壊”と“再構造化”という流動挙動が関係しています.この弱い力による流動挙動は工場の生産ラインにおけるパイプ輸送などでは無視されるほどの弱い挙動です. しかし,食品や化粧品のような人間の敏感な感覚に関わる製品では僅かな流動挙動の違いが評価に影響を与えます. そのため,この流動特性や内部構造の強度などの機械的性質が解明できれば,製品の使用感や快適性,再構造化による品質安定性の向上に繋がり,より機能的な製品開発に貢献することができます.
粘度ゲル
 
我々は複雑流体の流動挙動を測定する新たな方法を開発するとともに,流動による流体内部構造の変化を調査しています. そのための方法として「レオオプティック測定」を導入しています. これはレオメータによる流体の粘性や弾性などの流動特性の測定と,屈折率変化や光の散乱などの光学特性の測定を同時に行う方法です. 屈折率や散乱特性は流体および流体に分散している物質の分子構造や粒子形状,並び方などにより決まります. 粘弾性などの機械的な物性データと複屈折や二色性などの光学データを比較することで,流動に伴う流体の内部構造の変化を調べています.
レオオプティック測定
スキンケアクリームの流動挙動の解明
当研究室では複雑流体の流動挙動を解明する方法として,レオメータによる流体の流動特性の測定,屈折率変化や光の散乱などの光学特性の測定,顕微鏡・高速度カメラによる可視化が行われています. 私はこの中でも可視化に焦点をあてて研究を行っており,流体の流動挙動を顕微鏡・高速度カメラによって観察,解明することを目的としています.
 下図は実験装置の概要です.レオメータでのゲルやエマルションの流動の様子を顕微鏡・高速度カメラによって可視化します. レオメータによって得られる流体の粘性や弾性などの力学的特性の変化は分子レベルのミクロ的変化あるいはテクスチャやクラスターなどのマクロ的構造の変化に起因する場合があります. 当研究室ではミクロ的構造の変化は複屈折などの光学異方性により観察していますがマクロ的な構造変化についてはこの顕微鏡高速度撮影された可視化映像が現象解明の大きな役割を担っています.
可視化測定

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