当研究室は,流体の性質に合わせて風車組とレオロジー組の2つのグループに分かれています.それぞれのグループは研究対象によってより詳細なテーマに分けられます.
- 風車組 : 水や空気などの低分子液体を対象とした流体関連振動の研究
- レオロジー組 : 界面活性剤,液晶,高分子溶液などの固体物理では扱わない非ニュートン流体の流動現象に関する研究
レオロジー組・界面班
ひも状ミセル水溶液の流れによる構造変化現象とシアバンド形成
界面活性剤の水溶液にある種類の塩を添加すると,界面活性剤分子の状態が変化してひも状の会合体(ミセル)を形成します.
この溶液は【ひも状ミセル水溶液】と呼ばれ,高分子溶液のような粘弾性の性質をもちます.
ひも状ミセル水溶液は,洗剤以外にもセメントの増粘剤で利用されているなど,工業的に注目されている物質です.
この溶液を流動させると,溶液内部のミセル構造が変化し様々な特徴的現象が発生します.当研究室ではこれまでに以下の現象について調べてきました.
- 部分的に溶液が白く濁り,定常粘度が増加する【流動誘起構造変化】
- 瞬間的に粘度が百倍程度まで増加した後に低下する【せん断硬化】
- 性質の異なる不連続層が形成される【シアバンドの形成】
本研究ではこのひも状ミセル水溶液の流動に対してレーザ光を用いた『流動複屈折測定』と,レオメータ(回転粘度計)を用いた『機械的測定』,
さらに流動複屈折により流れ場の巨視的な層構造を可視化する『可視化実験』を組み合わせた多面的な検討を行い,
ミセル構造変化のメカニズムを明らかにすることを目的としています.