RESEARCH

磁気光学効果を利用した光回折型ニューラルネットワークデバイスの開発
近年、インターネット検索などに利用されているAIの計算に伴う膨大な消費電力の増大が大きな問題となっています。本研究では、低消費電力かつ光速度でAIの計算を実現する、磁気光学効果を利用した光回折型ニューラルネットワーク(Magneto-Optical Diffractive Deep Neural Network Device : MO-D2NN )を世界で初めて提案しました。現在、その実限に向けてMO-D2NNデバイスの研究開発を行っています。

有機金属分解法による磁性薄膜の作製と評価
有機金属分解(MOD)法は、有機金属溶液を基板に塗布し、熱処理をすることにより高品質な酸化物薄膜を作製する方法です。真空装置を必要としない比較的簡便な方法であることから、大面積の薄膜も容易に作製可能です。当研究室では、MOD法を用いて磁性ガーネット薄膜やコバルトフェライト薄膜の作製と評価を行っています。



光MOD法による酸化物薄膜の作製と評価
有機金属溶液を塗布した薄膜にパルスレーザーを照射し、結晶化します。数十ナノ秒間という短い時間に薄膜が加熱されるため、基板材料への熱によるダメージを大幅に減らすことができます。そのため、高分子材料などを基板として用いたフレキシブルな薄膜が作製可能になると期待されています。



磁気光学測定による磁性薄膜の評価
磁気光学効果は磁性材料の電子状態が起源となっています。そのため、磁気光学効果の波長依存性を測定することは、磁気光学効果を用いた応用の観点からだけでなく、基礎物性の観点からも重要です。当研究室では、ファラデー効果およびカー効果についてのスペクトル測定により、磁性材料の特性評価を行っています。また、磁気光学効果の測定技術の開発も行っています。



磁場分布計測技術の開発
当研究室で開発したビスマス置換磁性ガーネット膜を用いた磁気イメージング技術の開発を行っています。磁気光学イメージングは、リアルタイムで磁場および電流が作る磁場を可視化することができます。そのため、磁性体の評価だけでなく、金属材料の探傷、電気回路や電子デバイスの評価など、様々な分野において、新しい非破壊検査技術として期待されています。



Kerr顕微鏡による磁区観察技術の開発
Kerr顕微鏡に偏光カメラを組み合わせることにより、縦Kerr効果および横Kerr効果の同時計測が可能になりました。この技術により1回の測定で磁区のベクトル情報を取得することが可能になりました。