昨今の技術の発展は素晴らしく、工業設備、身の回りの製品に活用されています。ところで、社会に技術を提供するときに技術者が考えておくべきことは何でしょうか。
安全をリスクで考える上で基本は何でしょう。安全に関する情報もインターネット上などに多く存在していますが、本質的な情報を見いだし、活用できているでしょうか。
逆に考えると、どのような形で情報をまとめ、提供するとよいでしょうか。
このように考えると、安全の基本を再確認して、それを基に議論することが必要と考え、そのきっかけとして企画しました。
【プログラム】
・12:40~13:00 受付(接続確認)
・13:00~13:10 開会の挨拶
本日の趣旨説明(門脇 敏 センター長)
・13:15~14:25 講演1
「安全の論理~安全を基本から見直す」
長岡技術科学大学名誉教授 杉本 旭 氏
<概要>
リスク認知に基づく意思決定には、結果(事故)に対して負うべき責任が生ずる。これはグローバル経済の現在的理解であるが、現実には経済学を超えて重大な責任が生じ得る。
しかし、事故も責任も本来経験が許されないのであって、したがって、安全とは、事故に伴う責任の可能性(possibility)を事前に解消しようとするときに生ずる概念である。
本講では、論理的関係(¬責任≧¬事故≧安全)で示される安全について特にリスクベースの安全と対照して述べる。
・14:40~15:50 講演2
「安全の制度設計:日本の課題はどこまで解決したのか?」
開志専門職大学副学長・長岡技術科学大学名誉教授 三上 喜貴 氏
《講演資料-pdf》
<概要>
安全に関する法令や、基準、認証、保険に関する制度的な枠組みを如何にデザインするかという問題を「安全の制度設計」と呼ぶことにする。戦後、交通安全、労働安全、消費者安全、
食品安全等の各分野で、安全の制度設計に関して様々な改革が行われてきた。GATT東京ラウンド以降の国際化も安全の制度設計に大きな変更を加えてきた。今日の時点でこうした歴史を
振りかえるとき何がどこまで解決されたのか、残された課題は何なのか総括してみたい。
・16:00~16:30 講演3
「最近の機械安全規格から見る安全の動向と考察」
長岡技術科学大学システム安全工学専攻教授 福田 隆文 氏
<概要>
安全防護では新しい技術を活用した技術が取り入れられている。例えば、IEC 61496 (JIS B 9704)“電気的検知保護設備”では、画像認識技術などが取り入れられてきている。
本講では、保護方策は設計者による本質的安全設計方策からスタートすること、安全防護では安全確認型で構築することをまず検討することを基本と考え、
この点に立脚して新技術を有効に活用するための留意点を考察したい。
・16:30~16:50 総合討論(司会:福田 隆文 教授)
・16:50~17:00 閉会挨拶(塩野谷 明 副センター長)