昨今の技術は、従来の延長上ではないイノベーティブ(革新的)な発展の途上にある。
それに対応して、従来の安全とは異なって機械と人が接触する場合の安全確保の検討、あるいは、新たなセンシング技術の活用の検討が規格化の段階まで進んでいる。
また、インベーションに付随する新たなリスクに対して、事前に検討を行うことが実用化への関門である。今回は,この点を議論したく、規格の面から2講演、
国家プロジェクトである次世代空モビリティの社会実装に向けた実現プロジェクト(NEDO)に関しての講演の後に、講師、会場・遠隔の聴講者で意見交換を行う。
【プログラム】
・12:30~ 受 付
司会進行:長岡技術科学大学 特任教授 福田 隆文
・13:00~13:05 開会の挨拶
安全安心社会研究センター センター長 門脇 敏
<第Ⅰ部> 新しい規格の動向
・13:05~14:05 第1講
「機械の可動部分と人の接触時に生成される力学的な安全データの標準化」
豊田工業高等専門学校 校長 山田陽滋 氏
<概要>
機械の動きによる機械と人との物理的な接触に対して、安全データとして耐性値を提供する技術レポートを策定してきており、現在、FTRへと進みつつある段階にある。
この標準のユニークな特長の第一は、複数の規範、すなわち痛みレベルの規範に加え内出血レベルの規範に基づく物理量として反映されたデータを安全なデータとして定めていることである。
そして第二に、この安全データは、リスクアセスメントを実施する際に有用となるが、リスクの局面に応じ物理現象から種々の物理量を捉えられるように、
複数の単位の物理量に換算されたデータやその換算手法を与えていることである。
※講演50分~55分、質疑5~10分
・14:05~14:15 休 憩
・14:15~15:15 第2講
「IEC 61496“機械類の安全性―電気的検知保護設備”における
新しい検出技術(画像、ミリ波)を使った安全センサ規格の開発動向」
オプテックス株式会社 村田記一 氏
オムロン株式会社 竹島昌俊 氏
<概要>
産業機械分野の安全センサの規格IEC61496-3 2018年版では、3D-レーザースキャンとTOFカメラの技術を導入して3次元空間の監視ができるように拡張された。
この規格が比較的短期間でまとまったのは、IEC TS 61496-4-3でステレオカメラを使った3次元空間を監視するセンサの技術的な検証方法が確立されていたからである。
現在、マイクロ波、ミリ波を使ったレーダーによる安全センサの規格(IEC TS 61496-5)が議論されている。今回は、2011年からの規格作成の流れ、規格作成のきっかけ、
安全センサの検証に必要な技術、コンセプトなどを紹介する。また、今後の予定も、可能な範囲で紹介する。
※講演50分~55分、質疑5~10分
・15:15~15:25 休 憩
<第Ⅱ部> イノベーション-における課題と解決
・15:25~16:25 第3講
「ドローンイノベーションと標準化」
東京大学大学院 工学系研究科航空宇宙工学専攻 五十嵐 広希 氏
<概要>
近年,急速に高性能化・低価格化の進むドローン(小型無人航空機)は,空撮など従来からの利用だけでなく,
インフラ点検・物流・セキュリティ・農業など多分野にその利用が広がっている.現在ドローンは「目視外・第3者上空」を安全安心に飛行でき,
多様な産業のイノベーションの基盤となるよう,官民を挙げた取り組みがなされている.次世代空モビリティの設計開発運航システムは、
航空産業の先進国である米国や欧州においても発展途上であり、我が国もその社会実装に向けて国際動向も考慮して新たなシステム構築を進める必要がある。
本稿では、日本で進められているドローン関連の国家プロジェクトを概説し、ドローンイノベーションと標準化の関係を考察する。
※講演50分~55分、質疑5~10分
・16:25~16:30 休 憩
<第Ⅲ部> 総合討論
・16:30~17:00
・17:00~17:05 閉会挨拶
安全安心社会研究センター 副センター長 木村 哲也