原子吸光分光光度計 AAS

機種    :Shimadzu AA-7000
ShimadzuのWebページ
設置場所  :分析計測センター122室
担当教員  :高橋 由紀子
担当技術職員:◯高橋 美幸、吉田 拓也

ファーネス法、フレーム法(空気ーアセチレン)、水素化物発生法、フレーム一滴法により⾼感度分析可能
オートサンプラー付属(最大60試料まで)

 

 

AASとは?AASで何がわかるか

 原子吸光分析法とは、原子が固有の波長を吸収する現象を利用したものです. 試料に熱エネルギーを加えることにより分子が分解し、原子化され、その原子に励起された光をあてると、特定の元素のみが特定の波長の光を吸収するため、他の波長の光は一切吸収されません. 基底状態と励起状態のエネルギーの差は元素により決まっているため、吸収される光の波長も元素によって決まっているため、原子吸光分析法ではホロカソードランプという元素固有の波長を出す光源を用いてこの光の吸収量を測定し、原子の濃度を測定します.
 従って多元素を同時に測定したり、定性分析をすることは不可能で、予め存在する元素が分かっている試料に対して、濃度既知の標準液の吸光度を測定し、作成した検量線を用いて未知試料の濃度を求める分析に用いられます.

メリット: 基底状態の原子の吸収を検出するため、スペクトルの線幅が狭いことから、
      他元素の吸収波長と重なる可能性が低く、吸収波長の選択性が良い.
デメリット:目的とする元素に特化したランプが必要になるため、ICP(高周波誘導結合プラズマ)
      発光分光分析法と比較すると目的とする元素に特化したランプが必要になる.

(ホローカソードランプはAl,As,Co,Cr,Cu,Fe,Ga,Mg,Mn,Ni,Pb,Znはセンターにて保有しております.他の元素はご用意願います.)

原子化法の選択

 当センターでの原子化法は下記の方法に対応しています.

 ・フレーム原子化法
 ・ファーネス法(電気加熱原子化法)
 ・水素化物発生原子吸光法 

◆フレーム法:試料溶液をアセチレン/空気などのフレーム中に噴霧して原子化する

 

◆ファーネス法:試料溶液 10~20μLをグラファイト炉に注入し、加熱して原子化する
        比較的共存物質の影響を受けにくく、1~100ppb程度の超微量分析を行うことができる
        (測定元素により測定可能濃度は異なる)

◆水素化物発生原子吸光法:試料溶液を塩酸酸性下で水素化ホウ素ナトリウムと反応させ、
             目的金属を還元し、高温で原子化し、測定する
                   (例) As → AsH3 Se → SeH2 Sb → SbH3

 

Se,Sb,As などの水素化物を生成する元素について、マトリックス成分から分離ができるため、マトリックスの影響を受けにくく、高感度で測定できる

オプション

オートサンプラー  :15mLサンプルチューブ 60本.
           (ファーネス/フレーム一滴法では2mlサンプルカップで測定可)
水素化物発生装置  :測定感度が悪い元素について水素化ホウ素ナトリウムによる還元反応により水素
           化物を生成.マトリックス成分を除去して高感度測定が可能.(As)

AAS測定用の試料について

測定可能な試料
溶液中の無機元素(定量)
試料形状
液体(固体の場合は酸で溶液化してください)
試料サイズ
 
試料に関する注意
測定試料に浮遊物、沈殿物がある場合はろ過をしてください。
有機溶媒・フッ酸を含むものは不可。
定量分析の場合、検量線試料をご準備ください。
廃液持ち帰り用の空ボトルをご準備ください。
試料の調整方法
数10ppm以下になるように希釈してください。
(ファーネス法をご利用の場合はppbオーダーになるように希釈)

Shimadzu AA-7000の利用について

利用方法
現地利用 
半遠隔利用 web会議システムによる現地スタッフとの協働的な利用
完全遠隔利用 リモートデスクトップ機能による単独での利用
利用補足
機器を直接操作(現地利用)するにはスタッフから講習を受けて操作方法を習得後、スタッフが行う技能認定試験に合格する必要があります。