機種 :JEOL JPS-9010TR
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設置場所 :分析計測センター111室
担当教員 :小松 啓志
担当技術職員:◯豊田 英之、上野 悠一
H,Heを除く全ての元素の定性・定量分析が可能
帯電中和銃を搭載
XPSとは?XPSで何がわかるか
固体試料表面にX線を照射すると,光電効果により試料中の電子が光電子として放出されます.光電子の運動エネルギーから,原子内における電子の結合エネルギー(binding energy)を求めることができます.この結合エネルギーは元素固有の値を持つことから,試料表面の元素の定性・定量分析を行うことができます.また,化学結合状態により結合エネルギーがシフトするため,化学シフトから化学結合状態を知ることができます.この分析手法はESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれます.
XPS(JEOL JPS-9010TR)の特徴
- ★極表面の分析が可能
- 光電子の脱出深さが数nmであることから,固体試料の極表面の元素分析や化学結合状態に関する分析が可能です.
- ★対象元素:Li〜U
- H,Heを除く全ての元素の定性・定量分析が可能です.検出限界は0.1 at%程度です.
- ★帯電中和銃を搭載
- 試料表面の凹凸による不均一な帯電はピークの位置や形状に影響を与えます.帯電中和銃を用いて試料表面の帯電を緩和することで,ピークの変化を抑えることができます.
XPS測定用の試料について
- 測定可能な試料
- 金属、セラミックス・ガラス
- 試料形状
- 固体(バルク、粉末)
- 試料サイズ
- 10 mm×10 mmが標準,最低でも直径6 mmの大きさが必要.試料の厚さは1 mmが標準.これより厚い試料の測定に関してはスタッフにご相談ください.
- 試料に関する注意
- 測定前日に試料を試料ホルダーに固定してから試料準備室に導入し,一晩真空引きする必要があります.試料分析室内を超高真空状態(10E-7 Pa程度)に維持するため,水分を含む試料やガスを放出する試料などは測定をお断りすることがあります.
- 試料の調整方法
- 試料ホルダーへの試料の固定にはCuテープあるいはビスを用います.粉末試料の場合,試料ホルダーに固定したIn箔に粉末試料を圧着します.試料分析室内で粉末が飛散しないように注意が必要です.
JEOL JPS-9010TRの利用について
- 利用方法
- 現地利用
半遠隔利用 web会議システムによる現地スタッフとの協働的な利用
完全遠隔利用 リモートデスクトップ機能による単独での利用 - 利用補足
- 機器を直接操作(現地利用)するにはスタッフから講習を受けて操作方法を習得後、スタッフが行う技能認定試験に合格する必要があります。