メッセージGreetings
システム安全系長メッセージ

三好 孝典
2006(平成18)年に、国際標準と言えるシステム安全の考え方を基盤にした高度な実務・実践能力を養成すべく、長岡技術科学大学の大学院に専門職学位課程のシステム安全専攻が設置されました。それから今日まで、システム安全工学分野では、その前身である社会人キャリアアップ機械安全コース、専門職学位課程(専門職大学院)システム安全専攻、そしてシステム安全工学専攻、システム安全工学分野、と名前を変えながらも、合わせて200名を超える方々が研鑽を積んで修了されました。現在、多くの方々が安全関連の規格開発やフォーラム等において主導的に活躍されています。これらの実績により、2022年9月には「本専攻は安全工学のリカレント教育の発展に寄与した業績が顕著である」と認められ、公益社団法人日本工学教育協会様より工学教育賞を授与されました。
イノベーションが求められる今日、これから、経験的な安全構築が困難な新技術を社会に実装するには、より論理的な安全構築による規格の制定が必須となっています。同時に急速な技術革新の中で新たな技術に対応した安全の研究も求められています。このため、それに必要な研究能力、創造能力を持った人材の育成が大学に要請されています。そのような要請に応えるため、「持続可能でより安全・安心な社会の構築への貢献」をビジョンに掲げ、新たなミッションを「一般学生も含んだより多様な人材を対象に、安全の諸課題や新しい技術に対応できる研究能力、ならびに、安全の諸課題を解決できる卓越した実務能力を有する人材を養成すること」に定めました。専攻HPトップページの図は、このビジョン及びミッションのイメージを示しています。ご参照下さい。
2024年度からは本学の他の6分野と統合し、大学が一つの工学専攻となって次の取り組みを行っています。「それぞれの分野で必要とされる専門・融合知識及び実践的技術感覚を備え、データサイエンス、IoT 等の情報技術を活用して、関連分野及び融合領域の諸課題に対応し、安全に関する考え方を身につけ、技術をグローバルに展開できる高度な実践的・創造的能力を備えた指導的技術者・研究者を養成します」。すなわち、本学では全ての学生が、データサイエンス、IoT、そして『安全』を学修します。この3つが全ての工学の横串であると考えているからです。このようなミッションを掲げている大学は他にありません。

安全の世界は日々変化しています。機械安全・電気安全から始まって機能安全が加わり、さらに情報セキュリティの波が起こり、現在はAIに関する安全が様々なところで議論されています。AIの安全はこれからどのように進歩して行くのでしょうか。全く予測できませんが、例えどのような時代が来ても「設計/製造/使用などライフサイクルのすべての段階で、危険につながる要因を事前に系統的に洗い出し、その影響を解析および評価して適切な対策を施こさなければならない」こと、そしてそのために『安全技術とマネジメントスキルを統合的に適用するシステム安全が必要である』ことに変わりはありません。
これからもシステム安全工学分野に対する皆様からのご支援とご協力、そしてご助言をお願いいたします。
▼システム安全工学分野のあゆみ 略歴2002年 大学院工学研究科修士課程 機械システム工学専攻内
社会人キャリアアップ機械安全コース
2006年 大学院技術経営研究科専門職学位課程 システム安全専攻
2021年 大学院技術経営研究科修士課程 システム安全工学専攻
2024年 大学院工学研究科修士課程 工学専攻システム安全工学分野