在学生・修了生データ
平成18年4月に専門職大学院システム安全専攻 第一期生となる16名の社会人学生が入学して以来,毎年業種や年齢の異なる社会人学生が入学し,システム安全に関するさまざまな分野の知識を学び経験を積んでいます.設計開発や安全管理関係のほか,例えば総務関係などの方も入学しており,他職種・他業種の方々との安全交流が図れます.
年令分布
- 20歳代
- 16名
- 30歳代
- 50名
- 40歳代
- 65名
- 50歳代
- 68名
- 60歳代
- 20名
- 70歳代
- 1名
- 合計
- 220名
所属組織の業界分布
- 機械・金属工業
- 54名
- 電気電子工業
- 43名
- 化学・食品工業
- 15名
- 自動車工業
- 9名
- 建設業
- 24名
- 他産業
- 27名
- 公務・公的機関
- 23名
- 教育
- 9名
- 医療
- 3名
- その他
- 13名
住居地分布
- 新潟県
- 38名
- 東京都
- 41名
- 神奈川県
- 36名
- 埼玉県
- 23名
- 千葉県
- 14名
- 茨城県
- 10名
- 栃木県
- 3名
- 群馬県
- 2名
- 北海道
- 1名
- 青森県
- 1名
- 宮城県
- 1名
- 石川県
- 1名
- 山梨県
- 2名
- 長野県
- 3名
- 岐阜県
- 1名
- 静岡県
- 7名
- 愛知県
- 12名
- 三重県
- 3名
- 大阪府
- 6名
- 兵庫県
- 4名
- 奈良県
- 2名
- 広島県
- 2名
- 滋賀県
- 1名
- 京都府
- 3名
- 香川県
- 1名
- 福岡県
- 2名
修了生からのメッセージ
畝本 あい子
(株)島津製作所 所属
(平成28年度 修了生)
システム安全専攻入学当時,私は島津グループを横断して品質を司る部門で,製品の信頼性評価,安全試験,EMC試験,法令・規格を担当するグループのマネジメントを始めたところでした.部下はそれぞれの分野では専門家でしたが,「一匹オオカミ」的な面があり,彼らを纏めてグループとして戦略的に導くことができるよう,本専攻で安全に関する知識を体系的に学ぼうと考えての入学でした.
入学してみると,同級生は安全に関わる業務経験が豊富で,当然,安全の知識を持った方が大半でした.一方,素人の私が高度な講義内容を理解し,ついていくことは難しいことでした.文字通りゼロからの出発でしたが,先生方にサポートしていただきながら,出されたレポート課題を自分なりに丁寧に調べることで,少しずつ理解できることが増えていきました.その結果もあってか,修了間近の頃には,社内の技術者向けの安全設計教育で,リスクアセスメント,国内外の法令・規格,技術者倫理などを講師として教える立場になっていました.
週末に京都から東京・長岡へ通学することは体力,時間,費用の負担が大きかったのですが,家族や職場の理解もあり,学友の助けも得て何とか乗り越えることができました.私は1年休学したこともあり,学年を跨いで多くの知り合いができましたが,彼ら彼女らとは苦学を共に乗り越えた仲間だからこそ,絆が深くなったと思います.ランチや夜の宴会などで,安全について語り合い,刺激を受けたことなども楽しい思い出です.
現在,安全とは別の業務を担当していますが,本専攻で学んだ貴重な経験を活かし,機会があるたびに,安全は全てに優先されるものであり,メーカーとしての信頼を向上させるものであることを伝えていきたいと思っています.
<2019年5月>
木下 仁志
品川ロコー(株) 所属
(平成29年度 修了生)
私は築炉会社の労働安全衛生分野の担当をしています.その中で「安全とは何か?」「労働災害をゼロにするためにはどうしたら良いのか?」などを考え,調べているうちに『システム安全』の考え方を知り,体系的に学びたいと考え,挑戦することに決めました.
私は広島県在住なので,東京教室での授業を中心に卒業出来る単位数のみ受講しようと考え,カリキュラムと予算を組んでいました.しかし通い始めたら授業が面白く,すべての授業を受けたいと欲が出てきました.そのうえ,大学のキャンパスで授業を受けた方が学生らしくて楽しい気持ちになり,途中で方針変換.交通費等でかなりの予算オーバーになりましたが,全科目で単位を取得,自信になりました.
その中でも私が最も印象的だったことは「プロジェクト研究」です.自社の課題を研究テーマにして,担当の先生方と月1回以上意見交換をさせていただいたことは,すごく有意義な時間でした.先生方から教えていただいたこと,考え方や進め方などを導いていただいたことにより,私自身の理解を深めることが出来ました.またその時に取り組んだ研究テーマは卒業後に実践化するべく社内で取り組んでいます.他にも労働安全研究所や安全に関して先進的な取り組みをしている企業の取り組みを見学させていただいたことなどは,強烈に記憶しております.
レポートや通学などはしんどかったですが,本専攻での2年間はすごく楽しかった.先生方や年齢も業種も違う同期や先輩,後輩達の話を聴くことはすごく参考になりましたし,安全分野の楽しい仲間をたくさん知り合えたことは,社会人としての幅が広がりました.また多くの資料が手に入り,学生時代に消化できなかった部分をたまに資料を読み返すなど,今でも参考にさせていただいています.本専攻に一人でも多くの方に入学して頂き,生涯の財産を手に入れて頂ければ幸いです.
<2019年5月>
廣瀬 滋子
(株)新陽社 所属
(平成25年度 修了生)
駅や空港などの旅客案内用サインの製造販売会社の製造部門に勤務しており,庶務と衛生管理者を担当しています.そのため本専攻の入学に際しては,事務職の経験しかない私が「高度な安全技術と安全マネジメント」の授業を理解できるのだろうかと不安がありました.
しかし,授業が始まるとそれが杞憂とわかりました.工学的内容の授業や演習に戸惑うことも多々ありましたが,先生方のサポートや同期の応援により学業を継続することができました.また,ゼミ形式の授業では,先輩,同期,後輩,時には先生方も加わり,それぞれの専門分野からの「安全」への問題意識が熱く討論され,その熱気が学びへのモチベーションを維持してくれました.
現在,本専攻で学びました「システム安全」の知見は職場の安全対策に役立っており,また,近隣企業や行政機関との労働安全衛生情報の共有に寄与しています.これはまさに「システム安全」を体系的に学んだ成果と確信しています.また,2年間にわたり苦楽を共にした同期の存在は,今の職業生活への大きな支えとなっています.
本専攻の修了後も先生方や各分野で活躍されている先輩方の講演会への参加が可能であり,また,先生方の研究のお手伝いをする機会もあります.このように修了後も継続的に「安全」への学びを研鑽できることは,専門職大学院だからこそできる貴重な経験と感じています.
ぜひ「システム安全」を体系的に学んでいただき,私たちと共に安心・安全な社会づくりに参加して下さい.
<2016年5月>
亀山 秀明
日産工機(株) 所属
(平成27年度 修了生)
2年間を振り返ると,学生の頃より勉強に没頭したと思います.理由は実務に直結している内容,とりわけ労働安全について,講義を通じて国内外の法律・関連規格を体系的に理解できたことから,安全とは何なのかと考えるようになり,行政の通達など,日頃難しいなと感じていた事についても制定の背景を含めて理解でき,大きな視野で問題を捉え,実際の実務を見直し,その結果として繰り返し勉強する事になったと感じています.
入学にあたって,安全を学べる学校があることを知り,「家族」「会社」に相談し,入学することを決めました.講義以外のレポート等の取り組みに当たって,家族や会社の協力が無いと難しいと考えられます.在学中のご協力について,この場を借りて感謝申し上げます.
産業革命以降,巨大なエネルギーを人類は手に入れたと同時に,これをハザードと考えリスク対策(対応)する事が必要となりました.本来は,エネルギーの入手と同時に対策が必要であり,これがリスクアセスメントの姿です.
授業科目全体から見ると,ミクロの視点で「機械安全」を学び,安全設計の基本を国際規格から理解し,3ステップメソッドでリスクアセスメントを行うと同時にコストベネフィットの判断を如何に考えるかを体系的に学べます.又,マクロの視点では,安全とはどのような状態なのかを評価出来る力が養え,不慮な事故が発生した際,本質安全設計から見て不足した対策を客観的に判断出来ると考えられます.
実際は仕事と学業の両立が大変ですが,授業後,様々な業種・年齢の方と意見交換を通じて相互研鑽し,お互いの成長が図れるので大変意義があります.今後も先輩や後輩の方と安全について研鑽し,会社・社会貢献に繋げたいと考えています.
<2016年5月>
佐栁 光昭
新日鉄住金(株) 所属
(平成21年度 修了生)
大学時代に,もっと勉強しておけばよかったと思うことはありませんか?当時は,遊びたい気持ちも,恋愛したい気持ちも強かった(恋愛の方はさっぱりでした).でも,40代半ばで学生になってみると,自分でも怖くなるぐらい素直に質問が出来るのです.勉強が楽しい!分からないところが知りたい!勉強嫌いな息子にこの気持を分かってほしい!でも,自分も子供の頃は大の勉強嫌いでした.
ただでさえ忙しいのに,2年間も週末や帰宅後の疲れ切った時間を勉学にあてるなど体が持たないのでは?とためらっている方も多いのではないでしょうか?実際,大変ではありましたが,2年間を修了しての感想は,ストレスが溜まるどころか,週末になると,会社員や父親としての立場を忘れて,学生になりきって勉強に集中できる…そんな充実した2年間だったのではと今となっては思えます.家族に感謝!会社にも感謝!です.さらに専門職大学院は,それぞれ分野は違っても同じ志の方が集まりますので,自然と一体感が生まれます.
様々な分野で安全確保の実務に携わっておられる方の共通の悩みとして,自分の専門分野以外のところはちょっと…と感じることはありませんか?安全に関するすべての専門分野の技術とそれを司るマネジメントスキルが必要.私は,機械屋だから制御や電気のことは分からない.そういう私は,建築屋からスタートしましたので,すべて分からない…でした.でも,そんなことは言ってられません.自分の専門分野以外でも基礎知識が習得できるようになるだけで世界は変わります.そんな場があったらいいな….システム安全専攻で学ぶことのメリットはそこにあると思います.
<2011年5月>
江口 真理子
テュフラインランドジャパン(株) 所属
(平成21年度 修了生)
これまでの2年間を振り返ると,本専攻は下記の3点において非常にユニークでした.
1. 多種,多角的な講義,2. 自主性が要求されるインターンシップ,プロジェクト研究3. 面白いクラスメート
講義は,社会と安全との関係,物理現象の基礎,リスクを制御下に置くための方法など多岐にわたるものが用意されていました.専門分野間を繋ぎ,対象の全体像を把握することが安全活動の始まりだと考えますが,そのための足掛かりとして幅広い知識を必要とします.先生方のご経験談(オフレコ含む)も面白く,私はここで多くのヒントを得ました.
プロジェクト研究では「機械的駆動部における人体負傷の過程」をテーマに,どういう要素が関連しあって事象が発生・進行し,被害の程度を決定するのかについて,シリンダ間の巻込みを例に検証しました.接触する素材間の摩擦や素材特有の応力伝達というミクロな視点と,それが次の現象へとどう連続するのかというマクロな視点の両方が必要でした.複数のレンズ度数で事象を考察・整理する,良い経験となりました.
2010年2月14日プロジェクト研究発表直後,教授陣が発表内容を審査している間の待ち時間,クラスメートが集まった部屋は穏やかな雰囲気に包まれていました.2年間がやっと終わった開放感と睡眠不足から来るハイ状態を共有し,今までに無い一体感が生まれていました.私自身は仕事,プライベートと勉強の三足わらじで体力勝負の日々でしたが,業界,年齢とも様々なクラスメートを得たことで未知の分野を垣間見ることができ,社会人としての幅が広がったと感じます.共通テーマの「安全」に対し,技術でリスク低減を試みる人,現場の心理に沿った教育や手順を考える人,経営リスクとして管理する人,これらの組み合わせ人など色々なアプローチがあり,どれも興味深いものでした.安全に唯一の方法はありません.安全を「考える」という根っこを共にしたクラスメートが,それぞれの業務の中で色々な方法を見つけるのだと思うと,なんだか頼もしくなってきませんか.
<2010年5月>
大西 秀夫
新光電子(株) 所属
(平成22年度 修了生)
2009年4月,30年ぶりに学生生活をスタートさせました.入学式では,父兄や教員に間違われ,若い学生さんには写真撮影を頼まれ・・・「私も学生なのだ.」とつぶやいて,早1年,専門分野は違えど安全を追求する同じ目的をもった同級生と厳しい指導・経験豊富な先生方に恵まれ,よい緊張感のなか楽しく学生生活を過ごしています.
先生が提起された課題に関しの討論では,さまざまな経歴,年代の集まりから,その交わされる意見や考え方には感心することしきりです.これは,日常業務や仕事関係では得られない貴重な経験です.今は4/26~5/7に行った海外インターンシップのレポートを作成しています.受け入れ(研修)先はハンガリーの安全認証機関MEEIです.仕事で行く海外出張と異なり,失敗を気にせず学生という立場に甘えて成果重視ではなくあらゆることを貪欲に学んでくることを目的としました.毎日,認証専門家の方々から欧州の制度,規格,認証業務などの説明や講義を受け,その度に質問や意見を求められ,もてる会話能力をフルに発揮したのですが私の意見が正しく伝わったのかどうか,定かではありません.彼らにとって安全認証は仕事ですが,真摯に安全を追求する姿勢を感じました.私を応援してくださる勤務先の方々,私の家族,長岡技術大の先生方に感謝しつつ,学生という恵まれた環境を有意義に利用して,残りの学生生活を楽しみたいと思っております.
<2010年5月>
畑 幸男
コマツ産機株式会社所属
(平成21年度 修了生)
本学でシステム安全を学び始めたきっかけは,今後機械安全の技術管理者が求められる中で広く世間に認められるためには,これまで以上に基本的な安全の考え方を更に掘り下げ,系統だった学問としてのシステム安全を幅広く詳細に学ぶ必要があると考えたからです.
本学では安全について国際規格での安全の基本原則,グループ安全,個別安全の系統に加えマネージメントや安全認証を系統だって学ぶことができ,昨年4月より職種,経験,年齢を超えた精鋭16名が各授業で各自の経験をもとにした様々な意見を飛び交わし非常に有意義な学生生活を送っております.各授業の最後には自分の関係する仕事等に絡めたレポート課題提出があり,授業と合わせてこれらをまとめることは,自分がこれまで学んできた安全に対しての新たな発見,進歩の連続です.また,本学の特徴である海外インターンシップで私の場合はドイツの安全認証機関の研究所であるBGIAに行きましたが事前に目的意識を持って取り組めば相手先との相互交流できる非常に有意義な授業だと思いました.
残り半年の学生生活ですが,最後のプロジェクト研究でこれまで本学で学んできたことの集大成としてまとめ今後の活動に役立てたいと考えております.
<2009年6月>
山本 幹夫
中小企業基盤整備機構 所属
(平成20年度 修了生)
“Uhumm・・・What!!!”私の履歴書の年齢欄を見て,最初はこう思ったそうです.今年5月の海外インターンシップでの一こまです.私はブタペストにあるMEEIというTUV関連の検査・認証機関で,CEマーキングの実際の運用について2週間の実習を受けました.ハンガリーにも,『人間一生勉強だ』という格言があると励まされ,暖かく受け入れられました.印象に残ったのは,これから操業を開始する古タイヤのリサイクル工場を訪問した時のことです.
完成すれば6名の小さな会社ですが,プラントの安全検査はMEEIが担当します.検査後の認証により中央の制御盤にCEマーキングがつけられ,操業が許可される仕組みです.ここでは,安全を実現する取り組みに,大会社と中小企業の差はありません.人々が安心して暮らすためには,安全は不可欠な条件です.私たちはこの安全の実現を,高い信頼度を追求しながら目指してきました.しかし,時折発生する不幸な事故は,それだけでは不十分であることを物語っています.私は長年金属材料メーカーで,製造や品証の仕事に携わってきましたが,現在は『システム安全』の学生として,安全について世界の動向を見ながら幅広く学ぶ機会が与えられていることに感謝しています.
<2008年5月>
大賀 公ニ
有人宇宙システム株式会社所属
(平成19年度 修了生)
昨年4月より18年ぶりの学生生活を送っています.平日は会社での通常業務,週末及び連休を使用し「安全」について,講義受講のみならず,学んだ知識を利用し社会の安全確保のための議論を行っています.
「システム安全専攻」発足後も,エレベータ挟まれ,湯沸かし器中毒,市営プールでの吸い込まれ,シュレッダでの指切断,バッテリの発火/破裂等の事故が多発しています.もうこれ以上の事故発生後の議論ではなく,事故の未然防止のためにしっかりしたエンジニアリング及びマネジメントの原理,基準及び手法を習得し,「システム安全」活動の組織への定着への一翼を担えればと思っています.
先輩コースである「社会人キャリアアップコース機械安全工学」での実績を受けて,さらに広い観点を持ち,本学を「安全確保」のための情報発信基地とすることが私たちの使命であると考えています.
現状の私の目標は,発展型VOSである(VOS)3の形成です.Vitality, Originality and Servicesをベースに,Visible(残存リスクを明確にし),Optimal(最適な条件,方策を考え),and Safety(安全確保),さらにValuable(価値のある),Observation(観察,観測をして),and Safety(安全確保)を付加させていくことです.
職種,経験,年令の全てが異なることユニークな学生ではありますが,システム安全専攻の一期生としての誇りを持つ16名の精鋭のがんばりに期待してください.
<2007年5月>